2025年夏、地図メーカーのゼンリンが発売した新商品が、(はなれじま広報部内で)大きな話題を呼びました。
その名も「Map Design GALLERY CARD/有人離島」。全国の有人離島417島の中から70島をピックアップし、地図やデータを凝縮して1枚のカードにした前代未聞の「離島トレカ(トレーディングカード)」です。
なんと本商品、発売直後から離島ファンや地図マニアを中心に人気を集め、初回BOXは即完売したそう。

今回は、そんな離島トレカを生み出した株式会社ゼンリンの企画担当・高橋さん、デザイナー・長縄さんに、「はなれじま広報部」編集長・ハテシマサツキとデザイナー・りゅーくがインタビューしました。
制作の裏話から離島トレカを使った今後の展開まで、地図と離島への愛があふれるクロストークをお届けします。

▼株式会社ゼンリン ビジネス企画室 高橋 圭祐 氏
1986年生まれ、徳島県出身。2023年株式会社ゼンリンに入社し、「Map Design GALLERY」ブランドのヒノキ素材アイテムやタイル素材アイテムを担当。以降、販売計画や各種管理、ブランド商品の卸案件等、ブランド全体の業務に携わる。

▼株式会社ゼンリン ビジネス企画室 長縄 樹里 氏
1977年千葉県に生まれ、2010年に株式会社ゼンリンに入社。グラフィックデザイナーとしてセールスプロモーションの企画やツール制作、オリ・パラライセンシー関連のプロダクトデザインを担当。「Map Design GALLERY」立ち上げの際には、プロダクトデザイナーとして商品の企画・制作に携わる。
ゼンリン初となる挑戦。なぜ「島」なのか。

ハテシマサツキ(はなれじま広報部・編集長): 発売前にプレスリリースを見て、「離島がトレカになるなんて!」と本当に衝撃でした。発売直後にコンプリートBOXが即完売していて、第1弾は買えず…。再販でようやく手に入れましたが、とにかく大人気ですね。
高橋さん(ゼンリン・企画): ありがとうございます!予想以上に注目していただいて、嬉しい限りです。ただ、需要に対して生産数が足りず…申し訳ない気持ちもあります。
りゅーく(はなれじま広報部・デザイナー): それだけ待ち望んでいた方が多かったということですね。離島をカードにするなんて超がつくほどニッチなように思えますが、どうしてこの企画が生まれたんですか?
高橋(ゼンリン・企画): 背景には「ゼンリンの強みを活かして、各地の魅力をもっと広めたい」という思いがあります。ゼンリンが持つ正確な地図データを使って、どのようなアイテムを作るか…たくさんの案を出す中、データをフル活用できて、なおかつ企画として尖った「離島」を題材にすることにしました。

長縄:私自身、元々離島が特別好きだったわけではなかったのですが、デザインとしての面白さは感じていて、いつか形にしたいとは思っていました。島の形や道路の作りなど…航空写真では分かりづらい部分も地図であれば捉えやすくなります。カードに載った情報を元に、島に想いを馳せるきっかけになると嬉しいです。
デザインのこだわりは「取捨選択」

りゅーく: デザイナーとしてはデザインの部分がかなり気になります。カードの地図は細部まで美しいのに見やすいです。どんな工夫をされたんですか?
長縄: 一番大切にしたのは情報の「取捨選択」です。当社が有している地図データには、ありとあらゆる情報が載ったレイヤーが用意されているのですが、たくさんの情報から何を省いて、何を残すのかを決めるのに時間がかかりました。

ハテシマサツキ:カードには周囲の島も描かれていませんよね。島をひとつピックアップしてみると、これまでとは違った見え方ができて新鮮でした。
長縄: そうなんです。周辺の島々に加えて、橋やダムをはじめとする人工物は省き、ひとつの島が持つ輪郭を際立たせるようにしつつ、等高線は残して立体感を感じていただけるようにしました。表裏でも掲載する情報量を変えています。
りゅーく: あとは、レアカードのホログラム加工!角度によって模様が浮かび上がるのが本当に綺麗で、ついつい見とれてしまいます。

長縄: このホログラム、実は何種類も試作しました。派手に光るタイプの加工もありましたが、地図が見えなくなっては本末転倒。最終的に、角度によってふわっと浮かぶようなものに落ち着きました。デザインを損なわず、特別感を出せるようにしています。
ハテシマサツキ: なるほど…。細部までこだわりを感じます。
モノをきっかけにして、リアルにつなげる。
りゅーく:先ほど、私たちが持ちこんだ「島人口密度ブラックジャック」を一緒に遊んでいただきましたが、いやぁ盛り上がりましたね(笑)。
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高橋:とても面白かったです。社内でも新しい楽しみ方を模索していた中、今日遊んでみて、このカードの新しい可能性を実感できました。
長縄:特に、裏面のシルエットを使って島の人口規模を考察して盛り上がれるのが、とても良いですね。載せた情報がゲームのカギになるとは思っていなかったので、制作者の目線でも興味深かったです。カードに触れ、島に想いを馳せているうちに、愛着も強まると思います。

ハテシマサツキ:そう言っていただけて嬉しいです。私たちは普段、記事で島の魅力を伝えていますが、ゼンリンさんも今回、トレカという形で島に触れるきっかけを作っていますね。アプローチは違っても、目指すところは同じなんだと感じました!

長縄:そうですね。カードをきっかけに、最終的には「この島に行ってみたい」と思ってもらえたら制作者冥利に尽きます。いつかカードを使ったイベントも開催したいですね。
りゅーく:ぜひ一緒にやりましょう!カードゲームとして遊ぶ以外には、どのような楽しみ方があるのでしょうか?高橋:トレーディングカードとしてコレクションしていただくのはもちろん、SNS上ではカードを持って島に赴き、写真を撮影している方もいらっしゃいました。「先を越されたか!」と、私もカードを持って小豆島に行きました(笑)。

高橋さんは「小豆島」カードを手に、小豆島を訪れたそう(提供:高橋さん)
りゅーく:カードを楽しむうちに、島へ行くきっかけが生まれるのは、素敵すぎますね!
高橋:本当にそう思います。実際、私自身もカードの制作を通して、島に目を向けるようになりました。調べてみると、意外と近い場所に島があると分かったり、観光ガイドブックに載っていない島にも暮らしが営まれていることに気づいたり…。
ハテシマサツキ:知れば知るほど、島に対するイメージが変わりますよね。ぜひ今後も「はなれじま広報部」で情報収集していただけると!(笑)
地図から紐解く島のおもしろさがある。
はなれじま広報部として取材を行う際にも、地図は欠かせない存在です。しかし、現地で聞いたことを確認するために地図を使っている身としては、「地図から現地を捉える」という逆のベクトルでの楽しみ方は非常に新鮮でした。
その観点では、「これまで離島に興味を持ったことがない!」という方にこそ手に取っていただきたい商品かもしれません。地図という誰もが知る共通言語で島を見つめると、新たな発見があるかも?
ちなみに、「Map Design GALLERY CARD/有人離島」は第2弾の発売も予定しているそう。今後も目が離せません。
企画・取材・執筆:ハテシマサツキ
インタビュー進行:田上冬真、岡崎 竜久(デザイナー・デザインスタジオPuzzle Effect代表)
協力:株式会社ゼンリン
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