【興居島】ペダルをこいで神社を探しに

ペダルをこいで、神社を探しに

愛媛県松山市沖、フェリーでわずか15分の離島、興居島。
由良港に降り立つと、趣のある風景が広がっていました。
今回の旅は、島の北部をレンタサイクルで巡りました。

今回の物語は国際交流からスタートします。

興居島(ごごしま)ってどんな島?


興居島は、瀬戸内海西部にある愛媛県松山市の離島です。
面積8.4平方キロメートル、人口約900人。

主な産業に柑橘系の栽培があり、みかんの島と呼ばれることも。
島四国というお遍路さんのミニチュア版があり、全部まわると四国八十八ヶ所と同じご利益があります。

巡礼地の一例

高浜港から興居島へ


松山駅から電車に揺られること約25分、フェリー乗り場最寄りの高浜駅につきました。
高浜駅から港まで徒歩約5分です。
興居島行きのフェリーは由良港行きと泊港行きとあります。

行きたい神社が北部にあったので、今回は高浜港から由良港行きのチケットを買いました。
平日水曜日の乗船で、チケットは待合所で予約なしで購入できました。
乗船客は10人ほど、工事関係の方や配達員、地元のおじいちゃん・おばあちゃんなど島にゆかりのある方が多い印象でした。

興居島までは約15分、短い船旅のスタートです。

レンタサイクルを借りていざ散策へ


お仕事関係の方、地元の方はあっという間に散っていき、港には私と外国人夫婦だけが残されました。

レンタサイクルがあるのは知っていたので、次は係員探しです。
外国人夫婦がスマホをそっと差し出してきました。

「自転車はどこで借りれますか?」と差し出されたのは翻訳画面。
「私も探しています」とカタコトの英語で伝えると、2人はドイツからはるばる興居島を訪れたことがわかりました。

これは自転車を3人分借りなければ!謎の使命感にかられ、先ほど乗ったフェリーの船員さんに聞いたら、そのまま手続きとなりました。

ドイツ人男性に貸し出された自転車のサドルが高く「僕は足が短いんだ」と笑っていたのを今でも覚えています。
やや前置きが長くなりましたが、夫婦と別れていざ興居島を自転車で散策します。

磐神神社(いわがみじんじゃ)


自転車で島を北上し、辿り着いたのが磐神神社です。
外周道路から山側へ曲がり、しばらく進むと立派な鳥居が現れます。
近くに自転車を停めて鳥居をくぐりました。

階段を登り切り、目の前に現れたのは周囲34メートルの巨大な花崗岩です。
この岩が御神体(神様がやどる場所)で、海上安全の神様である磐長姫命(いわながひめのみこと)が祀られています。


昔から海運に関わる人々の信仰を集めており、帆船で行き来していた時には海上からこの神社を遥拝(遠くから神社に向かって拝むこと)をしないと、帆に風を受けれないとされていました。
そのほかにも、神様の遣いである白蛇の伝説や、山の木々を伐採すると祟りにあうといった伝説もあります。

神様がやどる山として、神聖な場所であるのが垣間見える瞬間でした。
そしてしばらく、巨大な花崗岩に想いを馳せていると自転車を一生懸命こいだ疲れがいつの間にか吹き飛んでいきました。

そろそろ次の目的地へと向かいます。


しばらくきつい上り坂が続きましたが、その先に待っているのは至福の下り坂です。
みかんの島らしく、急斜面を利用したみかん畑が広がっていました。

船越和気比賣神社(ふなこしわけひめじんじゃ)


興居島の中央部まで戻り、島の総鎮守である船越和気比賣神社に着きました。
神社に祀られているのは和気比賣命(わけひめのみこと)という女性の神様です。

和気比賣命は壺から出てきたという伝説が残っています。
昔々、ある漁師が海で壺を拾いました。
壺から出てきた女の子が、和気姫(和気比賣命)です。
子どもがいなかった漁師は、彼女を大切に育てました。

成長した和気姫は、孝霊天皇(こうれいてんのう))の子である伊予王子と結婚し、3人の子どもを授かります。
3番目の子が、伊予の豪族として知られる河野家の先祖になったと伝えられています。

和気姫が暮らした島は、子どもから見て母親が住む島だったので、伝説から「母居島(ぼごじま)」と呼ばれていました。

それが後に、現在の「興居島(ごごしま)」になったと言われています。
思いがけず島の由来を知る機会となりました。

また、秋祭りに開催される船踊りは、伊予水軍が島民のために船上で踊ったことがルーツとされています。


この神社には書き置きの御朱印とお守りがありました。

島には小さな神社がたくさん


興居島には小さな神社がいくつかあり、道中とても楽しめました。
海沿いの神社には、航海安全や大漁祈願の神様が祀られている場合が多く、自転車をとめてそっと手を合わせます。

旅行者にとって船がないと島に渡ることはできないし、波が穏やかでないと船は出せません。
時に神社は「当たり前の有り難さ」に気づかせてくれるのです。
ガイドブックに載らないような地域の神社に癒されつつ、港へと戻ります。

そして帰路へ


港に着くと安心感からか、疲れがどっと押し寄せてきました。
帰りのフェリーはもう着いていて、あとは乗船するだけです。
夕方の海沿い、潮の香りが旅の終わりを告げているようでした。

タラップが外され、船はゆっくりと港から離れていきます。
行きはワクワクを感じたのに、帰りは切なさに変わる不思議な感覚。
みかんの季節に戻って来たいなと思いつつ、帰路につきました。

ライター:飯田まりか

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