基本情報
島名:前島(まえしま)
都道府県:沖縄県
市区町村:島尻郡渡嘉敷村
指定地域名:慶良間諸島
面積:1.59 ㎢
周囲:7.3㎞
標高:133m
琉球王国時代から続く島の歴史
慶良間諸島の東端に位置する細長い島。17世紀にはすでに有人島として記録されています。琉球王国時代には、沖縄本島と中国大陸を結ぶ航路上にあり、1644年には烽火(のろし)台が設置され、不審船の発見や進貢船の到来を首里城へ知らせる通信施設として重要な役割を果たしていました。
しかし、戦後になるとカツオ漁の衰退や台風などの自然災害が相次ぎ、1962年の台風被害を機に、全住民が島を離れ、無人島となりました。
今に残る集落の痕跡と拝所(うがんじゅ)
現在、前島を訪れると、かつての集落の痕跡を辿ることができます。屋敷を囲っていた石積みや集落内の道、井戸跡、学校跡、広場、古墓などが島内に点在し、当時の生活の様子がうかがい知れます。
また「拝所(うがんじゅ)」も10カ所以上残されています。拝所とは、沖縄の伝統的な信仰に基づく聖域で、自然や祖先の霊、土地の神々に祈りを捧げる場所のこと。前島の拝所は、屋敷の隅や山裾、海を見渡す岬など、島の各所に設けられていて、無人島となった今でも、元住民やその子孫たちは毎年この地を訪れ、拝所での祈りを欠かさず行っています。
透明度抜群の海にある「シャークスポット」
前島は、慶良間諸島の中でも特に透明度の高い「ケラマブルー」の海に囲まれた自然豊かな無人島です。周囲にはサンゴ礁が広がり、カラフルな熱帯魚やウミガメの姿を間近に見ることができます。
なかでも島の南側周辺は、「シャークスポット」として知られ、ネムリブカ(ホワイトチップシャーク)と呼ばれるおとなしいサメが生息。ダイバーたちの間では人気の観察スポットとなっています。このネムリブカは、昼間海底でじっとしていることが多く、人を襲うことはめったにありません。