親元を離れて、離島の学校に通う。そんな「島留学」という制度が、近年少しずつ広がっています。都会を離れてまで島を選ぶ理由を、離島に特化した情報発信を行う「はなれじま広報部」が解説します。
島留学って?
島留学とは、島外に住む子どもが住民票を移し、離島の小学校・中学校・高校に1年単位で通う制度です。1986年に初めて、新潟県の佐渡島で小中学生の受け入れがされ、現在では北海道から沖縄まで、全国数十の島で受け入れが行われています。
受け入れの形は島によって異なります。島の住民が里親として子どもを預かる「里親型」、寮で共同生活をする「合宿型」、親子で島に移住して通学する「親子型」、島にいる祖父母のもとに戻る「孫もどし型」の4つが主なかたちがあります。
費用は基本的に保護者負担ですが、自治体が一部を補助している島も多くあります。

この時代だからこそ広がる、島留学
離島でも子どもの数は減り続けており、児童・生徒がいなくなれば学校は廃校になります。学校がなくなると、子育て世帯が島を離れ、地域そのものの維持が難しくなるケースも少なくありません。
島留学は、こうした流れを食い止めるための手段として各自治体が導入をしてきました。2022年の離島振興法改正では「離島留学」が明記され、国としても後押しする姿勢が示されています。
少人数教育や自然体験など、都市部では得がたい学びの環境に魅力を感じ、東京や大阪などから参加する家庭も増加。近年は関心の高まりとともに、留学希望者が定員を上回るケースも見られます。
島ごとに違う島留学
島留学は、島ごとに内容や特徴が大きく異なります。
海士町(島根県・隠岐諸島)——島留学の代名詞
島留学でまず名前が挙がるのが海士町。廃校寸前だった隠岐島前高校が全国から留学生を募集する仕組みを作り、今では島外からの入学者が島内の生徒を上回るほどの人気校に。小中学生向けの「親子島留学」や、大学生・若手社会人を対象にした「大人の島留学」も広がっています。
種子島(鹿児島県)——「宇宙留学」
ロケット発射場がある島ならではのプログラム。里親家庭で暮らしながら島の小学校に通い、ウミガメの放流や芋植え、ロケットの打ち上げ見学といった体験が日常に組み込まれています。
対馬島(長崎県)——韓国が見える島で学ぶ語学
韓国まで約50km。対馬高校の国際文化交流科では実践的な韓国語が学べ、韓国語能力試験の最上級に合格する生徒も。交流機会や地理的な近さを活かした、ほかの離島にはない特色あるプログラムです。
青ヶ島(東京都)——日本一小さな村での留学
人口約160人の日本一小さな村。里親の家に住みながら中学校に通います。教員11人に対して生徒が数人という環境で、苦手な教科はゆっくり、得意な教科は先に進めるような個別対応が行われています。

島で学ぶという選択
島留学は、すべての子どもに合うわけではありません。親にとっても覚悟のいる決断です。
ただ、どの島にも共通しているのは、勉強だけでなく暮らしそのものが学びになるということ。島で過ごした時間は、その後の進路や価値観に影響を与えることになります。実際に、島留学を終えた子どもが「帰りたくない」と口にするケースは多いようです。
はなれじま広報部では島留学の先駆者である隠岐島前高校主催のイベントに参加したレポートをお届けしています。「失敗を称える」ユニークな取り組みを紹介していますので、ぜひ読んでみてください。






