もし離島の住民に手紙を出す際、住所に番地がないことがあります。それでも、その手紙は届きます。なぜ番地がないのか。離島の情報発信に特化した「はなれじま広報部」が、離島の住所のひみつを探ります。
そもそも住所に番地があるのはなぜか。
私たちの住所は、「丁目・番地・号」といった単位で構成されています。これは、建物の場所を正確に特定するための仕組みです。
明治時代に地番が整備され、都市部で建物が増えるにつれて、それだけでは場所を特定しにくくなりました。そこで1962年に住居表示制度が導入され、建物にも番号が付与されるようになります。
つまり住所は、人が増えた社会で必要になったもの。ただ、この前提はすべての地域に当てはまるわけではありません。
青ヶ島には「番地なし」が存在する
東京都の青ヶ島村では、住所はすべて「東京都青ヶ島村無番地」です。どこに住んでいても同じ住所になります。
理由は、住居表示制度が導入されていないこと、そして地籍調査が完了していないこと。傾斜の多い地形では調査が進みにくく、境界が曖昧なままの場所もあります。
ただ、それ以上に大きいのは人の関係です。人口が少なく、住民同士が顔と家を把握しているため、番号がなくても生活に支障がないのです。
住所がなくても届く理由

では、番地のない島で郵便や荷物はどう届くのでしょうか。
離島の郵便局員は、配達先を住所で探しているわけではありません。「あの角を曲がった先の、漁協の隣の家」「去年引っ越してきた○○さんの家」といった情報と、頭の中の地図を頼りに配達しています。
こうした地域には、屋号(やごう)が使われていることもあります。家ごとにつけられた通称のようなもので、戸籍や正式な住所には載っていません。公的な住所以上に通称地名のほうが通用する場合も多いのです。
「人」でつながる離島の暮らし
都市では、住所がなければ郵便も届かず、行政手続きもできません。今の社会は、番地があることを前提に仕組みが作られています。
それでも島では、住所が曖昧でも暮らしは成り立っています。名前と顔が分かり、どこに住んでいるかも互いに把握している。その関係が、住所の役割を補っています。
はなれじま広報部では、島に移住して養蜂業を営む若き挑戦者を追った周防大島の記事など、島で暮らすリアルに触れられるコンテンツをお届けしています。離島の暮らしが気になった方は、ぜひのぞいてみてください。





