12月某日。はなれじま広報部の編集長、ハテシマサツキは香川県の「てしま」へ訪れました。
豊島じゃあない、手島です。

手島の人口はなんと15人(2025年12月時点)。
この島に何をしに来たのかって?
ある食材を探し求めてきました。それは…

どん!!!でっかい唐辛子です!!!
でかすぎる…そうは思いませんか?
そう、これは私たちがよく目にする唐辛子ではなく、「香川本鷹」という品種なんです。
豊臣秀吉の時代、周辺の海域で力を持っていた塩飽(しわく)水軍が、朝鮮出兵時に報奨として受け取ったのが、香川周辺で栽培されるようになったきっかけだそう。その後、特産品になるほど盛んに栽培されたものの、昭和の間に輸入唐辛子の勢いにおされ、生産量が一度ほぼゼロになってしまったんだとか。
それゆえ、この香川本鷹は「幻の唐辛子」と呼ばれることもあるんです。そりゃあ、幻なんて言われたら探しにいくしかないでしょう…!
実は乾燥された状態の香川本鷹は県内で流通しているのを目にしたことがあるのですが、今回のお目当ては「生」の唐辛子です。
ウワサに聞くところによると、生の香川本鷹はめっちゃ辛いらしい!
辛党の私はワクワクしっぱなしです。

船を降り、幻の唐辛子を探索します。
なんとしてでも、生の激辛唐辛子を見つけたい…!
果たして、島内で見つけることができるのか…
不安に駆られながら、歩くこと1分。

あった。
生の香川本鷹、あったよ。
山越え、谷越え、風雪に耐えながら崖の上に生えているのを見つけるかと思ったのに。残念ながらこの先、冒険ストーリーはありません。
強いて言うなら、欠航だけが怖かったです。
意外と船出ないんですよ、冬の瀬戸内海。
切り替えていきましょう。
香川本鷹を栽培している方に話しかけてみます。
すみませ〜ん、幻の唐辛子を栽培している方ですか?
そうです!手島香辛庵の高橋といいます。
せっかくなので、高橋さんの唐辛子収穫を見せてもらいながら、お話をお聞きすることにしました。

高橋さんは2021年に手島へ移住し、唐辛子づくりをはじめたそう。学生時代、絵画を制作するために島を訪れるうち、唐辛子のある島の景色を守りたいと強く思い、唐辛子農家の高田さんから作り方を教わったのだとか。
島の唐辛子栽培って難しそうですね。
未知の連続ですね…。
害虫やイノシシ、天候など、気まぐれな手島の自然環境が唐辛子づくりのジャマをします。マニュアルもないし、臨機応変に対応する必要があるのが、大変なポイントですね…。

また、同じ作物を同じ場所で作り続けることで野菜が育ちにくくなる「連作障害」を防ぐため、複数の唐辛子畑を1年スパンでローテーションする必要があります。
唐辛子をたくさん作るためには、必然的に畑を増やすことになりますが、これまで畑として使われていなかった土地を畑にする作業は、決して楽ではありません。
掘り起こしたら石や瓦が出てくることもあります。
大変だぁ…根気と体力が求められますね。あとは適応能力も。苦難を乗り越えて唐辛子をつくる高橋さん、本当にかっこいいです!
また、お話を聞くうち、高橋さん自身も移住者として苦労しながら、島で暮らすことを身体に馴染ませていったことが伝わってきました。
農業に限らず、島ではいろんなことが起きます。ちょっと放っておくだけで、家の周りや道路には草が生い茂ってしまうそう。人手も足りないので、お金で解決するという手段は取れません。
移住の当事者としては、どんな人が島暮らしに向いていると思いますか?
とりあえず自分でやってみる、ができる人ですかね。
ひとまず走ってみて、試行錯誤するというスピリット。超大事。
あとは、移住前に「四季を体験しておくべき」というアドバイスをいただきました。たしかに、冬の寒さや夏の虫など、実際目にしておいたほうが良さそうです。
高橋さん、ありがとうございました!
あ、せっかくなので、どうぞ。

なんと!ご厚意で生の唐辛子をいただきました。
ミッション達成です。
これでウマ辛料理を作るぞ!

やってきたのは、今夜の宿。
画像が間違ってるんじゃないかって?いえいえ、合ってます。
手島では、なんと学校に泊まれるんです。
厳密には旧小・中学校を改装した「手島自然教育センター」という施設。
ワオ、めっちゃ林間学校とかで使われそうな施設名で、めちゃくちゃよい。
教室に泊まるという貴重な体験のほか、なんと、かつての給食室をキッチンとして使うことができるんです。宿泊プランは素泊まりだけなので、食材を持参しましょう。ちなみに、島内にスーパーやコンビニ、商店はありません。

小学生の頃、入れなかった禁断の部屋!
というわけで、今日の食材たちの入場です。

はい。ペペロンチーノです。
個人的にめちゃくちゃ好きで、普段から翌日に対面の予定がなければだいたい食べてます。
今回は翌日に取材が控えている(!!)ものの、生唐辛子を前に、我慢などできぬということで…いざ、調理!

猫の手で唐辛子を切って…

タネまでしっかり…
今回は乾燥・生それぞれ1本、計2本の唐辛子を入れます。
これは辛いぞ…

ジュー
……。

ジュー
……。

できた!!!
手島で活動している陶芸ユニット「てしま島苑」さんの器に盛りつけます。すっごい良い感じ。素敵な器に盛り付けると、それだけで料理のクオリティが上がりますよね。
翌日、てしま島苑さんにインタビューをしたので、よかったらそちらの記事もぜひ読んでみてください。
閑話休題。気になるお味は?
さっそくいただきます!

うまっ!
生の唐辛子、パプリカみたいにみずみずしい!
辛さも爽やかで…

……。
……。
……。


※生の唐辛子は用法用量を守って食べましょう。
辛い。辛いんですが、めちゃくちゃおいしかったです。
これまで食べた唐辛子の中でダントツ1位で「うまい」。
単に辛みが強いだけじゃなく、唐辛子としてのうまみが出ているのを感じました。
唐辛子の風味をしっかり活かせるような料理だと相性良さそうですね。
きんぴらごぼうに少量添えるとか…。

あとは生の唐辛子のみずみずしさ、とってもクセになります。
新感覚。めっちゃ辛い果実のようで、そのままかじりたくなっちゃう。
幻の唐辛子は、生も乾燥も大変美味でした。
これから、香川本鷹のうまみをより引き出せるようなレシピの開発に励みます。
ごちそうさまでした!
企画・取材・執筆:ハテシマサツキ
編集:卜部 奏音






