はなれじま広報部

【菅島】言うは易く行うは難し!?空き家改修計画がスタート!

※本ページにはプロモーションが含まれています。

地域創生、関係人口創出、まちづくり…
離島や山間部で何をするにしても、必ず耳にするワードです。

実際「地域創生に取り組んでいます!」というと聞こえは良いものの、そもそも「地域創生」という単語が表す範囲が広すぎるので、「結局何をしているのか(できているのか)」を示すには言葉足らずなように思います。

それゆえ私はこのメディアで、あまり「地域創生」や「関係人口創出」というワードは使わないようにしてきました。自分事として落とし込むには、あまりにも漠然としすぎていて、しっくりこず…。

そんな私がいま、仲間とともに取り組んでいることがあります。三重県の有人離島、菅島(すがしま)での空き家改修です。片付けをして、新しい活用法を探って…を仲間と共に取り組んでいます。

この記事でご紹介するのは、地域創生の成功事例でも、華々しいまちづくりの物語でもありません。もがきながら、問題にぶつかりながら、それでも力を合わせてプロジェクトに取り組む、等身大の私たちの姿です。

ぜひあたたかい目で見守ってやってください。

菅島ってどんなところ?
三重県鳥羽市に位置する漁業が主産業の島。シンボルの菅島灯台は1873年に建てられ、現役では日本最古のレンガ造り灯台。「海女のふるさと」としても知られ、年1回開催される「しろんご祭」では、海女漁をしている様子を見ることができる。

こうして、プロジェクトは始まった。


菅島で、なぜ私たちが空き家改修を始めることになったのか。
少しさかのぼってみましょう。

2025年10月某日、はなれじま広報部メンバーの姿は東京・有楽町にありました。
目的は、国土交通省主催「スマートアイランドEXPO」への出展を通して、私たちの活動を知ってもらうことと、新たなつながりを作ること。

その際、初めてお会いした鳥羽市の自治体担当者さんが、こんな話を持ちかけてくれました。
「菅島という島に空き家があるので、改修をやってみませんか?」

当時、私たちはメディアとしての立ち位置に悩んでいた真っ最中。
取材だけでなく実際に手を動かすことで何か生まれるかもしれない!と、飛び込んでみることにしました。

その後、ご協力いただける方を探したところ、関西大学の石田 真貴 先生がご一緒してくれることになり…トントン拍子で話が進んでいきます。


…気づけば関西大学の学生さんと一緒に、菅島の関係人口を増やすための広報拠点づくりに取り組むことに。単なる作業スペースではなく、鳥羽の島々が持つ魅力を広く伝える場にしたいと思いました。

でた!「関係人口」というワード!

まぁ落ち着いてください。まずは広く知られている言葉でイメージを膨らませてもらって、実際のプロジェクトで個々人のギャップを認知してもらうために使ったところがあります。

実際、便利すぎるし抽象的すぎる言葉なので、学生さんたちには自分の言葉で体験したことを語れるようになってほしいと思っています。

閑話休題。

このプロジェクトでは、すでに近隣の答志島で活動をしていた横浜国立大学の「島プロジェクトin 鳥羽」のみなさんともご一緒することになりました。

菅島での活動実績もあるようなので、とても心強い…!
発案からここまで、約1ヶ月。
とんでもないスピードでプロジェクトが進んでいきました。

空き家を改修するぞ。

はなれじま広報部メンバーや学生さんはもちろんのこと、菅島のみなさんや大阪の企業のみなさんにも来ていただき、力を合わせて調査や施工に取り組みました。

なにせ私たちには物件改修の経験がなかったので、たくさんの方の知見やお力(物理)をお借りすることに。ダイジェストで約1年の歩みをご紹介します。

まずはコワーキングスペースづくりに着手


11月某日、最初に取り組んだのは空き家の視察と広報拠点としての具体的な活用方法の検討でした。
同じシェアオフィスに入居しているHYLEN Architectsの一級建築士、尾澤さんとともに菅島を訪れます。

「この部屋には長期滞在できそう」
「蔵もあるから、きれいにしたら物販スペースとかになるかも」
活用法をイメージしながら、物件の改修計画を立てていきます。

尾澤さんと話し合いながら、島内外の人たちが集まる場所かつ私たち自身が欲しているもの(=最低限の需要が担保されているもの)として、まずは多目的に使えるコワーキングスペースを作ることが決まりました。

物が多すぎる!

2025年12月には、関西大学のみなさんにも加勢いただき、現地での作業がスタート。2回の渡航に分かれ、17名の学生さんにご参加いただきました。

ちなみに、参加メンバーのほとんどがこれまで離島を訪れたことはなかったそう。関西から行ける離島は少なくありませんが、行くとなるとハードルが高い…というかそもそも選択肢に入ったことがないようでした。


しかし、実際に菅島へと足を運び、島のことを知っていくうち、学生さんたちの目が輝いていくのが分かります。恐るべし、島パワー。


ひととおり島のことを知ったら、物件に移動して片付けを始めます。

今回改修の対象となった物件は、住居としてだけでなく旅館の繁忙期に別館として使われていたそうで、家財道具に加えて法被やお膳などがたくさん出てきました。


雨の日も、晴れの日も…。片付け作業は数日にわたって進められましたが、それでもどんどん物が出てきます。一軒家+蔵の収納能力すげえ。

前途多難!DIYチャレンジ

ある程度家の中が片付いたら、ようやくコワーキングスペースづくりに着手。
緑色の砂壁が「The 和室」感を醸し出していたので、「モルモル」という漆喰風の塗料を塗っていきます。

しかしさっそく塗料が足りない!という問題にぶつかり、大混乱。
部屋の広さを畳数で数えて材料を調達したのですが、床の間や欄間周りのスペースなど、塗らなければならない壁以外の箇所が予想以上に多かったのが原因です。


しかし、舞台は離島。
すぐに材料が手に入るわけではありません。

できるだけ薄く塗って塗料を節約するしかない!
ということで、手で量を調整しながら壁に塗料をつけていきます。

あまり薄く塗りすぎてしまうと砂壁の緑色が透けてしまう…かといって厚く塗ることもできない…
そんなシビアな状況でしたが、学生さんたちは絶妙な力加減でうまく調整して、限られた塗料で部屋のすべての壁を塗ってくれました。

しっかり漆喰のような風合いも残っています。
手で塗ったことで味が出たのは、怪我の功名。

また、コワーキングスペースとは言いつつ、拠点としての用途を広げたかったので、畳スペースを設けることにした…のですが、ここでも問題発生。
パソコン作業用の机を置くことを考えると、その横にそのまま畳を敷くだけでは高さが合わない…!

そこで、横浜国立大学の学生さんを中心に、小上がりスペースを作ることに。


たくさんの木材を切って、部材を作っていきます。
作成した設計図を元にしつつ、細かい部分は現地で合わせて調整します。


これ、施工はもちろんのこと、資材の搬入もかなり大変でした。
本土で資材を調達して、定期船に載せて島へと運び、島内の路地を抜けて物件へ…

できるだけ島内の古材や廃材を使いたかったのですが、それらは島内でも需要が高いらしく、余っているものはありませんでした。

気合いで運び、なんとか物件に担ぎ込んでいます。
離島における建築の難易度がより高いことを実感した瞬間でした。

木材の切り出しが終わったら、ついに組み上げです。
配線や間取りの形、ドアの開閉にも気を付けながら、慎重かつ大胆に木材を固定していきます。

そしてついに…

完成形が見えてきたぞー!

まだまだ完全に出来上がったわけではないのですが、2026年に入る頃にはひとつのマイルストーンを通過することができたように思います。


こんな和室が…


こうなりました!
そして、畳スペースも…


小上がりに!
どう使おうか…妄想が膨らみます。

資材やイス、机の搬入にもかなり苦労しましたが、頑張った甲斐がありましたね。
次年度は、エアコンの設置や(現在、なんとエアコンがありません!)、インターネット環境の整備に取り組む予定です。

完成したら広報拠点として本格的に活用予定なので、お楽しみに!

関係人口は増やすものではなく、増えていくものかも。


そして「関係人口」のお話。

ありがたいことに、今回のプロジェクトを通して約100名の方々が菅島へ足を運び、作業にいそしんでくれました。中には、地域おこし協力隊のインターンに申し込んだメンバーも。

物件をどどーんと改修して、イベントで人を呼んで関係人口創出!…みたいな展開を考えていましたが、あれ?もうすでに菅島には多くの人たちが関わってくれているのでは?

DIY的にはじめた不完全なプロジェクトだからこそ、結果的に多くの人を巻き込むことができているのでしょうか。各々のスキルを持ち寄って補い合いながら、島の中でコミュニケーションを掘り下げられる機会を探す。
それが現実的な「関係人口創出」なのかもしれません。

現に私たちは、島の方たちから上がった要望をもとに、島内でサウナイベントや英会話塾を開く予定です。これも、実際に島で活動しなければ生まれなかったものだと思います。

「島からはじまるWEBメディア」として活動をしている、はなれじま広報部。これからもメディアとして全国の離島を対象に取材活動をするのはもちろんのこと、私たち自身も「n=1」の当事者として島に関わり続けるつもりです。

この先、どんなことが起こるのか、どんなことを起こせるのか、お楽しみに!

※こうした物件改修や商品開発などを行う私たちを応援してくださる企業担当者様はぜひ、「はなれじま広報部」広告掲載メニューへお申し込みいただけると、泣いて喜びます!

企画・執筆:ハテシマサツキ
編集:卜部奏音