はなれじま広報部ではこれまで、島をフィールドに新たなことに取り組む方々に向けた情報を中心に発信してきました。ただ、特に本土出身の方にとって、島という場所にはなかなか縁がないことがほとんどです。
「何となく良いイメージはあるけれど、ちょっと取っつきづらいかも…」という方に向けて私たちがおすすめしているのが、本土で開催される離島関連のイベントや物産展への参加です。
今回は、関西で「島EXPO——五感で楽しむ島々の彩典」を開催する、公益財団法人 日本離島センターの佐伯 直樹さんに、ご自身が島に携わることになったきっかけや、人生において島に触れることの意義を対談形式でお伺いしました。

▼公益財団法人 日本離島センター 調査係長 佐伯 直樹 氏
山口県に生まれ、大学で地理学を専攻。日本離島センター入職後は、全国の離島に関わる調査研究・広報宣伝に従事。『SHIMADAS(シマダス)』の制作や島の魅力発信に取り組む。
最初は誰もが島初心者!

お話をお聞きしたのは、日々島にどっぷり浸かっていらっしゃる佐伯さん。「常に島のことを考えている」という佐伯さんも、最初は「島初心者」だったはず!そう思い、島に触れるきっかけについて聞いてみました。
島との出会い
ハテシマサツキ(はなれじま広報部・編集長):佐伯さんとは島関連のイベントでも何度かお会いしていて、完全に島界隈の人というイメージがあります(笑)。そんな佐伯さんが島と最初に出会ったのはいつ頃なのでしょうか。
佐伯さん(日本離島センター・調査係長 以下、敬称略):子どもの頃、地元の山口県にある大津島(おおづしま)で「ポテトマラソン」という大会に参加したのが最初の島体験でした。当時は「島が好き」というよりも、自然や地域そのものに関心があって、その延長線上に島があったようなイメージです。
ハテシマサツキ:私の祖母は島に住んでいて、幼少期にも良く訪れたものですが、たしかに当時は「島」として強く意識したことはなかったですね。学生時代はどのように過ごされましたか?
佐伯:子どもの頃、『虚数の情緒』という書籍に出会ったことをきっかけに、次第に人々の暮らしや社会に対する関心を持つようになっていきました。同書は数学から人間の営みにまで話が広がる本で、世界を「通しで読む」感覚を教えてくれたんです。島を自然から文化、暮らしまで一連の流れとして捉える今の視点にもつながっていると思います。
ハテシマサツキ:子どもの頃から、物事をさまざまな側面で捉えることの大切さに気がついていたなんて脱帽です!
仕事として島に関わるという選択
ハテシマサツキ:そこから、本格的に島に関わるようになったきっかけは何だったのでしょうか。
佐伯:大学時代に偶然訪れた島が心に残り、直感で「この先も島や地域に関わりたい」と思ったのが契機でしたね。ただ、好きでも仕事にしないと継続的に関わりにくいとは思っていました。そんな折、日本離島センターの求人をインターネット上で見つけて応募しました。

ハテシマサツキ:求人されているんですね!?日本離島センターに勤務されている方のことも気になります。佐伯さんの他にはどのような方がいらっしゃるのでしょうか。
佐伯:みな、さまざまな切り口で島に関わりたいと思っているメンバーたちです。それぞれが興味を持つジャンルは十人十色で、人文、自然、歴史など幅広い領域にわたります。私自身は統計や数字を扱うことが多いですが、他のジャンルに詳しい同僚の話を聞くことで、日々新しい発見が得られて面白いです。
いま、島に触れることの意義
日本は島国ですが、離島出身でなければ人生で島を感じるシーンはそう多くはないでしょう。そこであえて島に目を向けること、五感で島を味わうことの価値を問います。
島は「調べれば分かる」以上の体験が得られる場所
ハテシマサツキ:正直なところ、ゼロから島との関わりを持つのは一定のハードルがあると思います。どのような形であれ、島外から島に関わることの意味はどのような部分にあるのでしょうか。
佐伯:島は「自分自身を相対的に見つめられる場」です。海の色、家の形、暮らし方など…普段生きている世界とは異なる場所で、知らない暮らしや文化に出会うことで、自らのことをより深く知ることができるはずです。こうした情報は、インターネットで調べても見つかりません。
ハテシマサツキ:あらゆる情報にアクセスしやすい世の中になったからこそ、五感を刺激する体験は貴重ですもんね。人間が元来持つ感覚を研ぎ澄まして物事を捉える経験は、予測不能な未来に相対する上でもカギになると思います。

佐伯:あとは反対に、安心感を覚えるという側面もあります。島は海に囲まれた空間です。島の外から訪れる人が抱く「なんだか落ち着く…」という気持ちの正体は「守られている感覚」なのかもしれません。
ハテシマサツキ:海が、島外の世界との間の防波堤になるということですね。島の魅力がまたひとつ言語化できて嬉しいです。
実は関西がアツい?密かに高まる離島熱。
ハテシマサツキ:広く離島事業者を募るイベントは東京での開催が多いように思いますが、今回の「島EXPO」は大阪で開催されますね。
佐伯:関西での大規模イベントは日本離島センターとしても初の試みです。ただ、関西と島の相性は結構良いと思っていて。飛行機や船で直接行ける島も多いんです。だからこそ、関西で島に関するイベントを開催することには大きな意義があると思っています。
ハテシマサツキ:私たちも「島への興味を行動につなげたい」という想いを持って関西で活動しているので、とても共感できます。今回のイベントをきっかけに期待することはありますか?
佐伯:参加者の方に、五感を刺激するような体験をしてもらいたいと思っています。今回は食を軸にしたイベントではありますが、音で島を感じてもらえるような仕掛けも用意しているんです。ぜひ楽しみながら、島のことを知ってもらえたら嬉しいですね。
あとは「島EXPO」をきっかけに、離島事業者の自発的な動きや、民間の取り組みが広がっていくことを願っています。日本離島センターが旗を振るのではなく、事業者や百貨店、団体など、多様なプレイヤーが自然に島と都市をつなぐ流れができれば理想的です。
ハテシマサツキ:今回のイベントが島内にとっても、島外にとっても起爆剤になると良いですね。当日も取材にお伺いするのをめちゃくちゃ楽しみにしています…!関西の「離島熱」を高めていきましょう!
9月6日、大阪で「島EXPO」開催。

2025年9月6日(土)・7日(日)、インテックス大阪で、日本離島センター主催のイベント「島EXPO――五感で楽しむ島々の彩典」が開催されます。全国50の離島が集結し、特産品の販売や島唄・島踊りの披露など、島の魅力を五感で楽しめるチャンスです。
はなれじま広報部も本イベントに潜入して、熱気をレポート予定。関西にいながらにして、全国の島を感じられる絶好の機会。五感で味わうことで新たな発見があるかも?
「島EXPO――五感で楽しむ島々の彩典」詳細はこちら。
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企画・取材・編集:ハテシマサツキ
撮影:田上冬真






