日々ECサイトを運営している皆様、そしてこれからECサイト運営に乗り出そうと情報収集中の皆様、いかがお過ごしでしょうか。
「なんとかECサイト自体は立ち上げられそうだ!」
「商品ページも作ってみた!」
「注文を頂いた際の発送などにも対応していける!」
そんなとき、ふと浮かぶ疑問が「本当に今のECサイトで自社の商品の魅力は伝えられている?」ではないでしょうか。必要最低限の情報だけ載せた商品ページではなんだか無機質な気がする…。本当に今のECサイトの情報で自分たちの想いを伝えられるのだろうか…?そう迷う方もいらっしゃるかもしれません。
そんなときぜひ取り組みたいのが、ECサイトのコンテンツ制作です。本記事では、記事コンテンツを制作することを想定し、商材別におすすめのコンテンツ例や、制作の流れについて詳しく解説します。
なお、ECサイトがコンテンツ制作を行う意義や、メリット・注意点についてはこちらの記事でも解説していますのでぜひ参考にしてください。
結局のところ、ECサイトにコンテンツは必要か
結局、ECサイトにコンテンツは必要なの?必要ないの?どっちなの?
…そう感じていらっしゃる方も多いかもしれませんね。結論、扱う商材にもよりますが、ECサイトにとってコンテンツ制作はブランディング・売上UP・認知度拡大などの面で大きく貢献する施策になります。
ECサイトがコンテンツ制作をおこなうと、以下の効果が得られます。
- 自社商品の正しい情報を伝え、顧客の購買意欲を高めることができる
- 企業のミッション・ビジョン・バリュー(=世の中に提供したい価値)を表現することができる
- 認知度拡大や売上UPに貢献する
上記以外にも、コンテンツ制作には顧客教育や複数の流入経路の確保といったメリットがありますが、同時に通常のECサイト運営業務と同時進行でコンテンツ制作に関するタスクをこなさなければならなくなるなどの注意点もあります。
詳細は以下の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
具体的にどんなコンテンツを作成すればよいのかは、商材別に後ほど詳しく解説します。
ECサイトと相性が良いコンテンツの特徴
一口にコンテンツと言っても、記事や動画などさまざまな種類があり、その中にはもちろんECサイトへ送客するためのツールとしてふさわしいもの、そうでないものが存在します。ここでは、ECサイトと相性が良いコンテンツの「特徴」をご紹介します。「競合他社も動画を使っていたからうちも!」と突き進む前に、一度立ち止まって本当にユーザーにとって必要なコンテンツは何か、考えてみましょう。
ブランドイメージやストーリーを適切に伝えている
ECサイトでの販促や顧客獲得を目的とする場合、ブランドのイメージや商品にまつわるストーリーを伝えられるコンテンツを作れるかどうかが非常に重要になります。特に「生産者の顔が見える野菜」のように、ストーリー性を商品の付加価値とする場合、コンテンツの質によって販促の成否が決まると言っても過言ではないでしょう。
商品やサービスの利用イメージがつきやすい
顧客になる読み手自身が商品やサービスを利用しているイメージを容易に抱けるようなコンテンツは、ECサイトと相性が良いと言えます。顧客が購入を決意するのは、「自分の生活に必要だ」と判断した時です。単に商材の優れている部分をアピールするのではなく、顧客目線で必要な情報を提供しなければなりません。
インタラクティブな要素がある
コンテンツにおけるインタラクティブな要素とは、事業者が一方的に情報を与えるのではなく、ユーザー自身も参加できるような「双方向性のある」ものになります。例えば、肌に関するお悩みやユーザーの希望に沿って肌タイプの診断を行い、最適なスキンケア用品を提案するページ。ひとりひとりに合った製品が表示されることから、ユーザーの購入率向上が見込めるほか、企業目線でもユーザーのデータ収集が可能です。
ECサイトと相性が良くないコンテンツの特徴
続いて相性があまり良くないコンテンツもご紹介。自社で企画しているコンテンツがこれらの特徴に当てはまりそうであれば、違う販促手段を検討した方が良いかもしれません。
広告要素が強すぎる
最近では「広告アレルギー」という言葉が生まれるほど、広告に対する風当たりは厳しくなっています。自社が訴求したいことだけを一方的に発信する「広告的な」コンテンツはユーザーに良い印象を与えないのです。もちろん、ECサイトへの送客を目的とする場合、必要な情報を盛り込む必要があるため、「広告感」と「ユーザー離脱率低下のための要素」のバランスを取らなければなりません。
コンテンツが冗長
あれも、これも…と情報を盛り込むうち、コンテンツが過度に長くなってしまうのは「あるある」でしょう。ただ、ユーザーには「どこまで続くんだろう」と思わせてしまう上、訴求が不十分なまま離脱させてしまうことも。ユーザー目線でコンテンツを制作することの大切さは、こうした部分にも表れます。
次のアクションが分かりにくい
特にECサイトに関連するコンテンツの場合、せっかく良い制作物を作ったとしても、それが顧客獲得につながらなければ、マーケティングとして成功とは言えません。顧客にどうして欲しいのかを伝え、自然な流れで各ページのゴール(コンバージョン)につなげられるような設計をする必要があります。
【具体例3選】ECサイトと相性の良いコンテンツの例を挙げてみた。
早速、商材別におすすめのコンテンツ例をご紹介します。大前提ですが、販売につなげたい商材や自社の強みなどによってコンテンツ制作は変える必要があるため、絶対的な正解はありません。ぜひこうした例を元に、自社のコンテンツをカスタマイズしてみてください。
食品:「幻のみかん」誕生秘話
もし生産や開発に苦労した商材があれば、ぜひ誕生秘話をコンテンツ化してみましょう。どんなストーリーや背景を持つ商材なのかをお客様に伝えることは前述した顧客教育につながります。
たとえば、農家の男性がおじいちゃんの畑でよみがらせた「幻のみかん」の場合、以下のような内容を伝えることでより深い訴求が可能になります。
- 子ども時代のおじいちゃんとのみかんにまつわる思い出
- おじいちゃんがみかんを作れなくなったときの悲しい気持ち
- それまでの仕事を辞めて故郷でみかんを作るまでの葛藤
- みかん作りをはじめてからの苦労
- 最初に作ったみかんが売れたときの感動
- 「幻のみかん」として生産が軌道に乗るまでの流れ
具体的なコンテンツ制作の流れや、上記の内容をふまえて制作可能なコンテンツのイメージはのちほど詳しく紹介します。
スキンケア商品:なりたい肌別「おすすめスキンケア」
スキンケア商品を取り扱っている事業者の場合、お客様の「なりたい肌」別におすすめのスキンケアを提案するコンテンツはいかがでしょう。ページの新設や図表の作成が必要になる可能性がありますが、たとえばYes/No形式で質問に答えていくとおすすめの商品が表示されるようなコンテンツは、ゲーム感覚で商品を選べるので、ページの離脱率を下げる効果も見込めます。
ECサイトでの購買につなげるためには、ただ見ているだけ・読んでいるだけのコンテンツよりも、実際にお客様自身がコンテンツに参加しているようなコンテンツづくりが有効です。
アクティビティ:現地での過ごし方のモデルプラン
ECサイトで売れるものは有形商材(=形がある商品のこと)だけではありません。旅行や体験、アクティビティなどの無形商材もECサイト上から申し込みができるようにすれば、商品として扱うことができます。
特に旅行に関連した体験を扱っている場合は、周辺の観光スポットや飲食店などを巻き込み、現地での過ごし方のモデルプランをコンテンツとして提案してみるのも良いでしょう。日帰り、1泊2日、カップル、親子連れなど、さまざまなバリエーションでモデルプランを用意すれば、お客様は現地で過ごすイメージを描きやすくなります。
コンテンツ制作の流れ
最後に、コンテンツ制作の流れについて解説します。前述した「幻のみかん」誕生秘話を特集記事という形でコンテンツ化すると仮定し、制作の流れに沿って紹介します。
①ミッション・ビジョン・バリューの策定および再確認
前述したように、コンテンツ制作は企業やメディアの掲げるミッション・ビジョン・バリューを実現するための手段です。たとえるならば、ミッション・ビジョン・バリューはコンテンツ制作という船の船頭のようなもの。
「幻のみかん」誕生秘話をコンテンツ化する際にも、そもそもどんなミッション・ビジョン・バリューを掲げていたのかを再確認します。ここでは「みかんで地域を盛り上げたいと願ったおじいちゃんの想いを受け継いでいく」をミッションと仮定します。
なお、本記事を制作している「はなれじま広報部」は「離島を通してこれからのPR・ECについて考える」をミッションとし、「広報・ECに悩む離島事業者をゼロにする」ことをビジョンとして掲げています。はなれじま広報部のすべてのコンテンツは、このミッション・ビジョンに沿って制作されています。
②企画立案
商材やブランドの魅力を伝えるため、取り上げる商品やサービスを決定し、それからどんな企画が適しているかを考案します。今回はお客様への訴求力を高め、顧客教育を有効におこなうことを目的とし、「幻のみかん」が誕生するまでの背景やストーリーを紹介する企画とします。
企画が決まれば、制作の段取りに入ります。「幻のみかん」誕生秘話コンテンツを自社で制作する場合は取材は必要ありませんが、仕入れ先メーカーの生産過程をコンテンツ化したい場合などは、取材や取材にともなうアポ取りが必要になります。調整等に時間を要することもあるため、スケジュールにはゆとりを持っておきましょう。
実際の制作の現場では商材の決定と企画の立案の順番が前後することもあります。その場合は先に企画を考案し、その企画に合う商材を選定することになります。その際、企画の実現を重視するあまり、商材購入までの導線設計を怠ってしまわないよう注意しましょう。また、この段階で狙いたいPV数やクリック率といった目標値も設定しておくことをおすすめします。
③構成作成
ここからは実際の制作に入ります。まずは全体の構成を決めていきます。この段階でどんな素材(写真や動画、ライティングのための情報など)が必要になるかを決めておくとこの後の流れがスムーズです。
「幻のみかん」誕生秘話の場合、以下の構成にしてみます。実際に農作業をするおじいちゃんの写真や、荒れ果てた畑の写真、サラリーマン時代の農家の男性の写真などが集められればよりリアリティが増します。また、現時点での生産過程の様子や、みかんが売られている様子の写真もあるとよいでしょう。
- みかんで地域貢献を願ったおじいちゃん
- おじいちゃんがみかんを作れなくなったあと、畑は荒れ放題に…
- サラリーマンを辞めて、みかんを作ろうと決意
- 1年目はまったくみかんが実らず、周囲からも無理だと言われた
- 最初に作ったみかんが売れ、口コミで「幻のみかん」と呼ばれるように
④担当者別作業・ディレクション
ライター・デザイナー・WEBデザイナーなど、必要な作業を担当者に割り振り担当者別の作業に入ります。社内に適した人材がいない場合は、社外に委託することも検討します。
ディレクターは制作の進捗を把握しながら、スケジュール管理や適宜ディレクションをおこないます。ディレクターは制作現場のリーダーとしての役割を担いますが、ライターやデザイナーなどの担当者が兼任することもあります。
⑤初稿完成・修正作業
初稿が完成したら上長や関係先などの意向を反映しながら修正作業をおこないます。修正をかけすぎて本来の制作目的からそれないよう、ディレクターが中心となって作業を進めます。
⑥最終稿完成・公開作業
最終稿が完成したら、WEBデザイナーが中心となりWEB上での公開作業に入ります。紙媒体のコンテンツの場合は、印刷会社へ入稿をおこないます。
⑦効果測定・リライト
コンテンツを公開したら、PV数やクリック率など狙った目標を達成できているかを効果測定していきます。また、ある程度時間が経って情報が古くなった場合などには適宜リライトをおこない、コンテンツの鮮度を保てるようにします。
オリジナルのコンテンツを作って、商材の魅力や想いを顧客に伝えよう!
本記事では、ECサイトとコンテンツの相性についてや、商材別コンテンツの具体例、コンテンツ制作の流れについて解説しました。
自社の商品の魅力や発売にいたるまでのストーリー、自社が大切にしているミッション・ビジョン・バリューを顧客に伝えることができ、理解を深めた上で商品を購入して頂けると思うとなんだかワクワクしてきませんか?
コンテンツ制作は制作の過程で自社の商品の素晴らしさを再認識するよい機会にもなりますので、ぜひ本記事を参考にコンテンツ制作の最初の一歩を踏み出してみてくださいね。
もし、「自分たちだけではコンテンツ制作は難しそう…」「結局、うちの会社の場合はどんなコンテンツがいいの?」といった疑問をお持ちの企業様は、ぜひ弊社にお気軽にご相談ください。商材の魅力や企業様の歴史に合った、最適なご提案をさせていだだきます!