離島に特化した補助金2つをご紹介!ビジネスで活用できる可能性も

離島でのビジネスは、物流や人材確保の面で費用が膨らみがちです。地域活性化や離島PR、移住促進などの目標があっても、資金面でビジネスが進まないというお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?

そんな時に活用したいのが、離島を対象とした補助金です。本記事では「離島活性化交付金」と「離島広域活性化事業」の2つの補助金について、申請方法や対象となる事業を詳しく解説します。公式の資料が分かりにくいと感じた方や、初めて補助金について学ぶ方にも分かりやすく紹介しますので、ぜひ離島ビジネスを前に進めるヒントとしてお役立てください。

離島に特化した補助金はある?

離島に特化した補助金という観点では、「離島活性化交付金」と「離島広域活性化事業」の2つの補助金があります。ただ、他の補助金と比較して採択数が少ないのもまた事実。まずはどのような要件で補助金の活用ができるのか見てみましょう。

そもそも、国土交通省は改正離島振興法(2023年度施行)をふまえ、以下の目的で離島振興を支援しています。

  • 離島の自立的発展
  • 島民の生活安定・福祉向上
  • 地域間交流の促進
  • 無居住離島の増加防止
  • 著しい人口減少の防止

そして「離島活性化交付金」と「離島広域活性化事業」はこの目的を果たすために設けられているのです。

たとえば、特産品の開発や移住促進、高齢者の生活支援に関する事業は、離島活性化交付金の対象になります。また、地域情報の発信や離島体験プログラムの実施は、離島広域活性化事業の対象です。他にも対象の事業がたくさんあるので、それぞれの補助金制度について詳しく解説します。

参考:離島振興:離島活性化交付金・離島広域活性化事業|国土交通省

「離島活性化交付金」とは?

はじめに、離島活性化交付金について制度の概要と対象となる事業を解説します。

離島活性化交付金とは、離島の発展や福祉向上、地域間交流促進を目的として定められている制度です。前述したように離島におけるビジネスでは2つの補助金制度を利用できますが、離島活性化交付金は産業活性化や定住促進など、主にソフト面での施策を対象としています。

制度の概要

離島活性化交付金の事業実施主体は都道府県、市町村、民間団体です。実施主体とは、補助金制度を運用する団体のことです。補助金は国交省から実施主体を通じて支払われます。基本的に、離島活性化交付金を申請する際には3つの実施主体(都道府県、市町村、一部事務組合)のいずれかに申請することになります。

補助率は以下のとおりです。

  • 都道府県、市町村、一部事務組合に申請する場合:各事業の1/2以内
  • その他民間団体に申請する場合:各事業の1/3以内


ただし、民間団体が実施主体となる場合、以下の要素で補助率の条件は変動します。

  • 流通効率化事業:1/2以内
  • 特定有人国境離島地域への輸送費支援:6/10以内
  • 産業活性化事業における創業支援金:1事業あたり上限600万円

事業期間は原則3年以内です。あらかじめ事業計画を提出する必要があり、数値化した成果目標を設定する必要があります。流通効率化事業と産業活性化事業については、のちほど「対象となる事業」の章で詳しく解説します。

離島活性化交付金を申請するには、事業実施主体が離島振興対策実施地域を含んでいる必要があります。離島振興対策実施地域とは、離島の生活環境改善や経済発展を目的として、特別な措置が必要と定められている地域のことです。離島振興法によって定められ、人口減少率や最短航路距離などが指定基準とされています。

【事例あり】対象となる事業

離島活性化交付金の対象となる事業は以下2つです。それぞれ事例とともに詳しく解説します。

  • 定住促進事業
  • 交流促進事業

定住促進事業

定住促進事業には以下6つの事業が指定されています。

事業名事業内容
産業活性化事業離島での雇用創出のための特産品開発特産品や原材料の輸送離島への企業誘致促進 など
定住誘引事業離島へのUターンや他地域からの移住を希望する人への情報提供
流通効率化事業流通の効率化に繋がる機材の導入(コンテナ、荷役機械、冷凍庫、冷蔵庫など)
デジタル技術等新技術活用促進事業離島の課題解決のためのデジタル技術(ドローン、グリーンスローモビリティーなど)
小規模離島等生活環境改善事業買い物支援高齢者の送迎支援 など
安全安心向上事業防災計画の作成防災講習の実施防災機能を強化するための設備投資 など

産業活性化事業の事例を紹介します。

長崎県五島市に所属する4島(福江島・久賀島・椛島・奈留島)では、市外の百貨店やスーパーなどで「五島フェア」を開催したり、バイヤーや料理人の五島市内への招致を行ったりしています。また、五島産品を取り扱う店舗を「五島市公認産品応援店」に認定しています。このような取り組みが販路開拓や五島産品のブランド化に繋がったことから、定住促進事業の対象に認定されました。

交流促進事業

交流促進事業には以下3つの事業が指定されています。

事業名事業内容
離島における地域情報の発信PR用の映像やパンフレット、Webページの制作および運用PRを目的としたイベント開催
交流人口・関係人口拡大のための仕掛けづくり中間支援組織の立ち上げ(目的を離島に関わる人を増やすこととし、交流プログラムの作成などを行う)交流人口の受け入れのためのトイレ改修 など
島外住民との交流の実施・繋がりの構築の推進離島留学や離島体験プログラム、交流イベントなどの実施上記のための寄宿舎整備 など

離島における地域情報の発信の事例を紹介します。

広島県広島市の似島(にのしま)では、旧似島臨海少年自然の家を広島市似島歓迎交流センターとして2024年4月にリニューアルオープンしました。リニューアルオープンにあたり、ホームページの作成やPRイベントの開催を行っています。このような活動が広島市似島歓迎交流センターの利用者増加に繫がるとして、交流促進事業の対象に認定されました。

参考:離島活性化交付金事業(概要)離島活性化交付金事業実施要綱離島活性化のための交付金の概要と事例紹介|いずれも国土交通省

「離島広域活性化事業」とは?

離島広域活性化事業も、離島活性化交付金と同様に離島の経済的発展や島民の生活・福祉向上を目的に定められてる制度です。離島活性化交付金との違いは、同交付金はソフト面の施策を支援しているのに対し、離島広域活性化事業はハード面の施策を対象としている点です。

制度の概要

離島広域活性化事業の事業実施主体は都道府県、市町村、民間団体です。民間団体とは、商工会・中小企業団体・観光協会・農業協同組合、漁業協同組合、民間事業者、その他地域関係者などを指します。離島広域活性化事業を申請する際には3主体のいずれかに申請します。

補助率は以下のとおりです。
・都道府県、市町村、一部事務組合に申請する場合:各事業の1/2以内
・民間団体に申請する場合:各事業の1/3以内

ただし、民間団体に申請する場合は以下の条件で補助率が変わります。
・流通効率化関連設備整備事業:1/2以内
・土砂災害特別警戒区域内の事業:予算の11.5%(上限541万円)

なお、事業期間は原則3~5年以内とされています。流通効率化関連設備整備事業については、のちほど「対象となる事業」の章で詳しく解説します。

【事例あり】対象となる事業

離島広域活性化事業の対象事業には、以下4つの事業が指定されています。

事業名事業内容
定住促進住宅整備事業空き家の改修などのための人材受け入れを目的とした施設整備
定住誘因施設整備事業シェアオフィスなどの整備船舶待合所などの交流施設の整備や改修
流通効率化関連施設整備事業流通効率化に関連する設備(普通倉庫、冷蔵倉庫、荷さばき施設、加工場など)の整備
定住基盤強化事業避難施設の整備防災活動拠点の改修避難路や案内板などの整備緊急時に物資の輸送を行う施設の整備災害応急対策施設の整備感染症対策などの離隔施設の改修土砂災害特別警戒区域内の住宅改修や建替 など

定住促進住宅整備事業の事例を紹介します。

島根県海士町の中ノ島では、「還流シェアハウス」を運営しています。本シェアハウスは島内の空き家を改修したもので、ワーケーションや大人向けの離島体験施設として活用されています。別途シェアオフィスを運営する企業誘致も進行中です。このような取り組みが海士町への移住や定住に繫がるとして、離島広域活性化事業の対象となっています。

参考:離島広域活性化事業(概要)附属第Ⅱ編 交付対象事業の要件|国土交通省

「離島活性化交付金」と「離島広域活性化事業」の違いは?

最後に、離島活性化交付金と離島広域活性化事業について、両者の違いを図で見てみましょう。離島広域活性化事業が、離島の広域的地域活性化のための基盤整備をはじめとする「守りの施策」であるのに対し、離島活性化交付金は、定住促進・関係人口増加・情報発信など「攻めの施策」を行うことを前提としています。

それぞれの補助金についての詳細は本記事内の各項目を参照ください。

 

他の補助金も視野に入れて離島ビジネスを成功へ!

本記事では、離島のビジネスで使える2つの補助金について解説しました。離島ビジネスは本土でのビジネスと比較して、流通や人材確保などの面で経費がかさみがちです。

今回の記事では離島に特化した補助金を紹介しましたが、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、事業再構築補助金など、全国を対象とした補助金の中にも活用できるものは多くあります。自社のビジネスの方向性や事業実態に合わせ、補助金を幅広く検討するのがおすすめです。

はなれじま広報部では、離島ならではのビジネスを行いたい方や、ご自身の活動を通じて島の活性化に繋げたい方を応援しています!広報やECの力で一緒に離島ビジネスを盛り上げませんか?皆様からのご相談やご質問をお待ちしております!

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企画/執筆:松井紗李
編集:ハテシマサツキ

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