島で見つけた猫たち——猫が先か、島が先か。

ねこ特集

ハテシマサツキは最近まで、犬と猫が怖すぎて近づくことすらできませんでした。しかし、数々の島に渡るようになり、猫については次第に克服してきたように思います。それゆえ、猫アレルギーにも気づいてしまったのですが…。

前回に続き、この記事では私が訪れた島の中でも猫がいた島を、印象的だったシーンと合わせてご紹介。猫島と呼ばれる島も、そうでない島も含まれています。ぜひ島を知るきっかけにしてみてください。

粟島(あわしま-香川県)


独特な世界観に溶け込んだ猫。ここは、瀬戸内海に浮かぶ香川県の粟島です。前回ご紹介した豊島と同じく、瀬戸内国際芸術祭が開催されていることもあり、アートの島として知られています。それゆえでしょうか。自己表現に寛容な雰囲気があるのはとても良いことだと思います。


第2回目の瀬戸内国際芸術祭で誕生したのは、宛先のない手紙が全国から届く「漂流郵便局」。会期中、「局長」として運営を担った中田さんが会期後施設を買い取り、今も運営を続けているそう。本当は届いてほしいけれど、届けることができない想いが、手紙という形になって積み重なります。

粟島の概要はこちら

志々島(ししじま-香川県)


粟島の隣にあるのは、志々島という有人離島です。かつて映画『男はつらいよ』のロケ地にもなった商店が、今でも無人販売所として活用されています。この写真は、商店の中からの一枚。ドアを開けると、猫は遠くへと走っていきました。


志々島で欠かせないのは、大きなクスノキ。推定樹齢1200年と言われる大樹を見上げていると、もはや言葉が出なくなるほど圧倒されます。誰かに教えるのも惜しいくらい、お気に入りの場所です。

志々島の概要はこちら

津和地島(つわじしま-愛媛県)


愛媛県・忽那(くつな)諸島に位置する津和地島の集落には、数頭の猫がいました。中には首輪がついた個体もいたので、放し飼いしているのかもしれません。カメラを構えていると姿を現し、のそのそと近づいてきました。


そんな津和地島は、玉ねぎの名産地です。みかん畑で使っていた畑や設備を流用できることや、イノシシによる食害も少ないという理由で、島の主要産業がみかん栽培から玉ねぎ栽培に切り替わっています。3月下旬に島を訪れたのですが、島のいたるところから新玉ねぎのにおいがしました。

津和地島の概要はこちら

睦月島(むづきじま-愛媛県)


睦月島は、先ほどご紹介した津和地島と同じく、忽那諸島を構成する島のひとつです。猫島として知られており、東北から猫のために観光客が訪れることもあったのだとか。休校になっている睦月小学校で私がリュックを下ろしていると、興味津々な様子で猫が集まってきました。


島内を散策していると、古い車を発見。ホンダの…CR-Xでしょうか。片方だけオープンになったヘッドライトのおかげで、ウインクしているように見えます。長年見開いたその片目で、何を見てきたのか。しばし思いを馳せました。

睦月島の概要はこちら

沖家室島(おきかむろじま-山口県)


さらに西へ進みます。山口県の沖家室(おきかむろ)島には、たくさんの猫たちがいました。写真の猫は、初対面の私たちにもすり寄ってくるほど人なつっこかったのですが、スクールバスが到着した途端、バスの方へ走り去ってしまいました。降りてきた学生を出迎えるように跳ねていたので、絆を紡いできたのでしょう。

ただ、沖家室島では不妊・去勢手術が進んでおらず、猫に困っている住民も多いとのことでした。


沖家室島で特にぐっときたのは、廃業した店舗を活用して作られた集会所です。ひとつのテーブルを囲むようにイスが並び、地元の方が腰掛けて井戸端会議をしていました。いわゆるたまり場ってやつですね。島のコミュニティを築く上で、こうした場所は非常に重要になると思います。

沖家室島の概要はこちら

情島(なさけじま-山口県)


沖家室島からそう遠くない場所には、情島(なさけじま)が浮かびます。野性味あふれる猫が多く、あまり近寄らせてくれませんでした。そう思うと、スリスリしてくる猫の人慣れ度合いってすごいんですね。島内には数頭の猫がいて、子猫も生まれているようでした。


港から歩くこと約5分。左手に見えてくるのは情島小中学校の立派な校舎です。かつては学校に隣接する児童養護施設「あけぼの寮」や、島内の集落に住む生徒が通学していたものの、あけぼの寮の島外移転に伴い、生徒数はゼロに。今では休校となってしまっています。海を前にして静かに佇む白い校舎を見ると、もの寂しい気持ちになってしまいます。

情島の概要はこちら

相島(あいのしま-福岡県)


ここは福岡県の相島(あいのしま)。宮城県の田代島とともに、米メディア・CNNが発表した「世界6大猫スポット」に選ばれた有人離島です。博多からのアクセスも良好なことから、国内外から多くの観光客が訪れます。島内の猫はすべて済みで、NPO法人によって給餌や健康管理が行われています。

相島の取材記事はこちら


相島の形(ハート形)にちなみ、島内の食堂で提供されている「ラブ♡コロッケ」。島の形はそれぞれで、月面や星座のように何かに見立てれば、新たな化学反応を起こせるように思うんですよね。金魚とか、ネッシーとか…。夢が広がります。

相島の概要はこちら

猫の目は島を映す鏡

猫とふれあうために猫島へ行くのはもちろん、猫島として知られていない島で、猫を見つけてみるのもおもしろいと思います。猫を見つけたら、ぜひ周囲の環境や住民の方たちにも目を向けてみてください。猫のかわいさに引けをとらない魅力が詰まっているはずです。

島猫シリーズ第三弾の記事は、また島の猫情報が溜まったら公開しますので、しばらくお待ちください!

(企画・文:ハテシマサツキ

関連記事

  1. 町長に会いに行く

    【周防大島】みかん鍋を作って、町長と仲良くなりたい!

  2. ねこ特集

    島で見つけた猫たち——人がいて、猫がいる。

  3. 島の現状、メディアの限界。クラウドファンディングに至るまで

  4. 広報ライターの働き方

    普段どんな仕事してるの?「広報ライター」ハテシマサツキの働き方

  5. 生口島アイキャッチ

    【生口島】島好きが、必ず島で暮らしているとは限らない!?

  6. クリエイティブ×離島イベント情報

    初のイベント開催!大阪梅田で離島ワークショップを実施します。

インタビュー記事バナー
Instagrambanner
プレスリリースバナー
導入事例記事バナー