日本の国境に位置する離島を守るために生まれた法律、「有人国境離島法」。島に特化した情報発信を行う「はなれじま広報部」が、有人国境離島法の支援の仕組みと、2027年に迫る期限の延長に関する最新動向をわかりやすく解説します。
有人国境離島法とは何か
有人国境離島法は、日本の領海や排他的経済水域(EEZ)を守る拠点として、人が住む国境離島を維持するための法律です。
正式名称を「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法」と言い、2017年から施行されています。
国境離島とは、国境を決める根拠になる島のことです。人が住むことで漁業や海洋調査、領海の警備の重要な拠点として機能しており、一度無人化すると再び拠点として活用することが難しくなります。そのため、有人国境離島法により人が住み続けられるよう支援しているのです。国境離島についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

有人国境離島法の支援の仕組み
国が保全・管理している473の国境離島(無人島含む)のうち、148島が国が指定する「有人国境離島地域」に属しています。さらにこの内の71島は、本土から距離が遠く人口が著しく減少している「特定有人国境離島地域」として指定されています。
有人国境離島法は、有人国境離島地域全体への支援と、特定有人国境離島地域へのさらに手厚い支援という2層構造になっています。
それぞれに対する国の施策には、以下のようなものがあります。具体例については後述します。
有人国境離島地域
・行政機関の施設の設置
・国による土地の買取り
・港湾等の整備
・外国船舶による不法入国等の違法行為の防止
特定有人国境離島地域
・飛行機やフェリー運賃の低廉化
・物資の輸送コストの軽減
・雇用機会の拡充
・安定的な漁業経営の確保
有人国境離島法の対象の島
有人国境離島地域には石垣島(沖縄)や飛島(山形)、粟島(新潟)など148島があります。こちらの記事で有人国境離島地域の一覧をご覧いただけます。
71島が指定されている特定有人国境離島地域には、利尻島(北海道)、佐渡島(新潟)、対馬島(長崎)、隠岐諸島(島根)、五島列島(長崎)、種子島(鹿児島)などがあります。

有人国境離島法による支援の具体例
有人国境離島法に基づいて、特定有人国境離島地域には社会維持のための交付金がつき、雇用機会の拡充や観光促進事業のために使われています。
雇用機会拡充の例として、空き家をリノベーションしたゲストハウス・喫茶事業の開業(種子島)や調剤薬局の開局(下甑島)、クラフトビール製造(壱岐島)などが挙げられます。
観光促進事業の例としては、周遊観光を目的としたスタンプラリー(利尻島)、SDGs教育旅行のプロモーション(対馬島)、富裕層向け旅行商品の開発(福江島)が挙げられます。
内閣府は補助金を活用した事例紹介を行っていますので、こちらも参考にしてみてください。
2027年に迫る期限と延長の動向
有人国境離島法は10年間の時限立法であり、2027年3月31日に期限を迎えます。自民党は同法を10年間延長する方向で検討しており、2026年2月には改正案の大綱案を了承しました。
大綱案によると、地域社会の維持に必要な施策に関する都道府県の努力規定を新設するほか、新たに天売島・焼尻島(北海道)、新島・式根島(東京)など6島を追加するとしています。さらに、縮小が続く離島航路の維持のため、ジェットフォイルを含む新たな船舶の建造支援も検討する予定です。
法の期限が迫るなか、離島で暮らす人々にとって今後の行方が注目されます。
島に人が暮らし続けることが、日本の海を守ることにつながる
有人国境離島法は、単なる離島振興策ではなく、日本の領海とEEZを守るための安全保障上の意味合いも持つ法律です。法律の内容を知ると、「国境の島に人が住み続けることが日本という国そのものを支えている」という事実に改めて気づかされます。
はなれじま広報部では、離島航路整備法や離島への移住で使える支援・補助金など、離島に関する法律や国の支援について解説した記事を発信しています。
また、特定有人国境離島地域である佐渡島や隠岐諸島での取材記事も公開していますので、気になる方はぜひのぞいてみてください。





