離島の海に広がるサンゴ礁。色とりどりで、動かなくて、どこか植物や海藻の仲間のようにも見えます。実はサンゴは動物であり、離島の海が美しく見える理由にも深く関わっています。「はなれじま広報部」が、その仕組みと役割を解説します。
島まるごとサンゴ礁――喜界島とサンゴ礁科学研究所
奄美群島に属する喜界島(鹿児島県)は、島全体が隆起サンゴ礁でできている、世界的にも珍しい島です。道端の石垣や畑の石にも、サンゴの痕跡を見ることができます。
2014年、この島に「喜界島サンゴ礁科学研究所」が設立されました。「100年後に残す」を理念に、サンゴ礁の調査と記録を続けています。なかでもユニークなのが「サンゴ図鑑100年プロジェクト」。島周辺で確認された150種以上のサンゴを、生体と骨格の両面から記録し、長期的な変化を追っています。
では、サンゴとはどんな生き物で、どのようにして「礁」をつくるのでしょうか。
サンゴ礁の正体とは
サンゴ礁のもとになるサンゴは、クラゲやイソギンチャクと同じ「刺胞動物」の仲間に属する動物です。基本単位は「ポリプ」と呼ばれる数㎜ほどの小さな個体で、これが分裂を繰り返して群体をつくります。

そしてポリプは石灰質の骨格を作り、それが長い年月をかけて積み重なることで、「サンゴ礁」という地形が生まれます。喜界島は、動物がこうして作り上げた地形の上に人が暮らしている島ともいえます。
サンゴ礁はどこにでも見られるわけではなく、沖縄や奄美群島、小笠原諸島といった南の離島に集中しています。サンゴは年間を通じて暖かく、光の届く浅い海でしか生きられないためです。

サンゴ礁の仕組み
サンゴは、体内に「褐虫藻(かっちゅうそう)」という植物プランクトンを共生させています。褐虫藻は光合成によって栄養をつくり、その多くをサンゴに供給します。
一方、サンゴも褐虫藻に住処と二酸化炭素などを供給しています。こうした共生関係によって、栄養の少ない海でもサンゴ礁は成長していきます。
ただしこの関係は環境の変化に弱く、海水温が高い状態が続くと、褐虫藻がサンゴの体内から抜け出してしまいます。するとサンゴは白化し、その状態が長く続けば死んでしまうこともあります。
サンゴ礁が明かす、離島の海が美しいわけ
離島の海が美しいのには、ちゃんと理由があります。サンゴ礁がある海は栄養分が少なく、水が濁りにくいため透明度が高くなります。さらにサンゴの骨格が砕けてできた白い砂が光を反射し、エメラルドグリーンや淡い水色の海をつくり出すのです。

その美しさの土台を作っているのは、数㎜の動物が数千年から数万年という時間をかけて積み上げてきた骨格。そして喜界島のように、サンゴの化石の上に人が暮らしている島があります。サンゴ礁のことを少し知っておくだけで、離島の海を見るときの解像度がひとつ上がるのではないでしょうか。
はなれじま広報部では、サンゴ礁の海に浮かぶ奄美の「離島の離島」を取材した請島・与路島の記事をお届けしています。離島の海が気になった方は、ぜひのぞいてみてください。
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