海の上に空港があり、街がある。日本には「人工島(じんこうとう)」が数多く存在します。島に特化した情報発信を行う「はなれじま広報部」が、人工島の意味や日本に多い理由、日本の代表例を解説します。
人工島とは
人工島とは、人が海や湖を埋め立てて作った島のことです。海底に護岸を築き、内側に土砂や建設残土を投入して陸地にします。日本では古くから行われてきた手法で、江戸時代に作られた長崎の出島も、広い意味では人工島のひとつです。
現代の人工島は用途によって性格が異なります。空港、港湾、住宅地、廃棄物処分場など目的はさまざまですが、いずれも陸地では確保できなかった土地を、海の上に作り出したものです。
なぜ日本では人工島が多いのか
日本には100を超える人工島があるとも言われています。日本にこれほど多くの人工島がある理由は、この国の地形と歴史に深く関わっています。
日本には山が多く、人が住んだり開発したりできる平地は国土全体の3割ほどしかありません。特に大都市が集中する沿岸部では、使える土地の不足が長年の課題でした。戦後の高度経済成長期には工業用地や港湾施設の確保が急務となり、海を埋め立てて土地を作るという方法が各地で採用されたのです。
また、東京、大阪、神戸、名古屋、福岡といった日本の主要都市はいずれも海沿いに発達してきた港湾都市です。すぐそばに海があるという地理的条件が、埋め立てという選択肢を現実的なものにしていました。
日本にある代表的な人工島
日本の代表的な人工島をご紹介します。
●関西国際空港(大阪府)

日本初の完全な人工島上の空港。1994年に開港し、国内初の24時間運用が可能な空港として誕生しました。総面積は1,055ヘクタールと、東京ドーム約225個分の大きさ。埋め立てに使われた土砂の一部は、淡路島や和泉山脈の山を削って調達されました。
●夢洲・咲洲(大阪府)

夢洲(ゆめしま)は1970年代後半から埋め立てが進められてきました。2025年の大阪・関西万博会場に選ばれ、IR施設の開業も予定されています。対岸の咲洲(さきしま)は大型展示場・商業施設が並ぶ「イベントと物流の島」です。
●ポートアイランド・六甲アイランド(兵庫県)

神戸港内に作られた2つの人工島は、「都市型人工島」の先駆け。ポートアイランドは1981年の完成当時、世界最大の人工島でした。「山、海へ行く」のキャッチコピーのもと、六甲山地の土砂で海を埋め立て、削り出した跡地は須磨ニュータウンとなり、山と海の両方で同時に街を作る構想でした。現在は大学、病院、研究機関、企業、住宅が集まるひとつの街として機能しています。
●羽田空港の拡張部分(東京都)

もともと陸地に建設された羽田空港ですが、2010年に供用を開始したD滑走路は、多摩川の河口に桟橋構造と埋立構造を組み合わせて建設されたもの。日本最大の空港を支えるインフラの一部が、人工島で成り立っています。
ちょっと変わった人工島も
人工島というと空港や港湾のイメージが強いかもしれませんが、実はそれだけではありません。日本には、少し変わった成り立ちを持つ人工島もあります。
●軍艦島/端島(長崎県)

世界遺産にも登録されている軍艦島。もともとは草木すら生えない小さな岩礁でしたが、海底炭田の開発にともなって周囲を6回にわたって埋め立て、面積を約3倍に拡張しました。最盛期の1960年には約5,300人が暮らし、人口密度は当時の東京の約9倍。日本初の鉄筋コンクリート造アパートが建てられ、学校、病院、映画館まで揃っていました。1974年に閉山し全島民が島を離れることに。現在は無人島として、上陸ツアーの観光スポットになっています。
●夢の島(東京都)

名前からは想像しにくいかもしれませんが、夢の島はゴミで作られた島です。1957年から東京湾の埋立処分場として使われ、高度経済成長期には大量の廃棄物が持ち込まれました。ハエが大量発生して社会問題にもなった場所ですが、現在は緑豊かな公園やスポーツ施設に生まれ変わっています。
●舞洲(大阪府)

舞洲(まいしま)は夢洲の隣にある人工島で、廃棄物処理施設が中心に置かれています。注目すべきはその外観。テーマパークのような色彩で、初めて見ると工場とは思えない見た目に驚きます。「インフラの島」をここまで個性的に仕上げた例は、日本でもなかなかありません。
人工島という発想
人工島は、海の上に新しい土地を作るという発想から生まれました。空港や港、住宅地や廃棄物処分場まで、その用途は時代とともに変わり続けています。一方で、地盤沈下や災害リスク、維持コストといった課題も抱えています。人工島は便利なだけの存在ではなく、人の手で作られた土地だからこその難しさも併せ持っています。
はなれじま広報部では、離島の住所に番地がない理由を探った記事や、離島の水道水がどこから届くのかを解説した記事など、島にまつわる「知らなかった」に出会えるコンテンツをお届けしています。ぜひ読んでみてください!





