昨今、メディアのあり方が特に問われるようになる中、私たち「はなれじま広報部」が今後どのように取材活動を進めていくべきか悩むことも多々あります。今回は、「ハイパーローカルメディア」というキーワードから、いち小メディアとしての立場について考えることにしました。
ハイパーローカルメディアとは？
「ハイパーローカルメディア（超ローカルメディア）」とは特定の地域、例えば市区町村や、さらに狭い範囲の町内会レベルといった超地域密着型の情報を発信するメディアのこと。地方紙をはじめとする従来のローカルメディアよりもさらに狭い範囲に焦点を当て、地域住民の生活に密着した情報を提供するのが特徴です。
「広く大きい」メディアにはない強み
これまでの報道が、東京や大阪などの大都市圏を起点になされてきたことを考えると、ハイパーローカルメディアのスタンスはそうした報道とは「真逆」だといえるでしょう。
新聞であれば発行部数、インターネットメディアであればPV数など、メディアの規模を図る指標は多数あり、多くの場合それらのランキングは首都圏発のメディアの独擅場になります。割けるリソースも全国に届ける知見もたくさん持っているわけですから、当然といえば当然です。
しかし、ハイパーローカルメディアにはそうした首都圏発のメディアにはない強みもあります。最も大きいのは、全国的なメディアではカバーできないような、地域の生活に密着した情報を報じられること。
たとえば、地域のイベント情報や新規オープンした店の紹介、地元で活躍する人のインタビューなど…。地域で本当に必要とされている情報をきめ細やかに伝えることで、地域で「使える」メディアとしての立場を確立しているメディアも少なくありません。
地域外の目線で見ても、ハイパーローカルメディアは「地域のことを深く知る」ために非常に重要な存在になるでしょう。私は旅行先でスーパーやホームセンターに行ってその土地の食材や生活雑貨を見るのが好きなのですが、そのような感覚だと思います。北海道のホームセンターには当たり前のように「鮭袋」が売られていて面白かったな…。
はなれじま広報部はハイパーローカルメディアなのか
それで私たち「はなれじま広報部」はどうなのか、という話ですが、この記事でご紹介した定義で見てみると、私たちはハイパーローカルメディアには該当しないでしょう。「有人離島」という共通項に沿った取材・情報発信はしているものの、特定の地域に絞って活動をしているわけではないからです。
なんなら、有人離島がひとつも存在しない大阪という地から、全国の離島へ取材に赴いているので、構図自体は従来のメディアと変わらないでしょう。その上、私たちの場合は本業の傍ら運営しているという特性もあってリソースも決して多いとは言えず、取材頻度も限られています。
しかし、いや、だからこそ。ローカルメディアではなくても、私たちのようなメディアにも存在する意義があると考えています。島の内側でも、完全に外側でもない目線を持って全国の島々へ向かい、その土地の人たちが「当たり前」だと思っているもの・ことを抽象化ないしは一般化して、他の島でも活用できるような情報として発信する。そんなメディアが必要だと思っています。
また、運営形態上ジャンルや内容を特化せざるを得ないからこそ、伝えたいメッセージは明確になります。絞っているのが「地域」ではなく「テーマ」というだけで、ローカルメディアが持つ強みと共通する部分は十分にあるのではないでしょうか。
私たちの場合は「離島に対して何かアクションをしたい人に届けるメディア」であろうとしています。そして取材の際には、マクロの視点だけでなくミクロの声をできるだけ活かしたいと思っています。もちろん偏向報道になってしまわないよう細心の注意を払う必要はありますが、メディアとしてのスタンスに共感していただける方に刺さる情報を届けるべく発信を続けているのです。
これからも、はなれじま広報部は私たちにしかできない情報発信の仕方を追究し、積極的に世の中へのアウトプットを続けていこうと思います。応援のほどよろしくお願いいたします。
文：ハテシマサツキ（はなれじま広報部・編集長）
