香川に「砂漠」があると聞いたら信じられますか?
丸亀港から約20分でアクセスできる広島(通称:さぬき広島)にある王頭山。なんとそこに、「砂漠」と名が付くスポットが存在するんです。
往復2時間、登山初心者でも歩ける山道の先にあるのは、マグマがゆっくりと冷えて固まった花崗岩(かこうがん)がごろごろと横たわる不思議な空間。島内の港からのアクセスも良く、島歩きと合わせても半日で楽しめる、日帰りできる穴場スポットです。
香川県内で王道以外のおでかけ先を探している人にもぴったりかも?
山の中にある砂漠?
砂漠と聞くとまず頭に浮かぶのは、サハラ砂漠のような砂丘が連なる砂の砂漠。
しかし、実はそれ以外にも「岩石砂漠」という岩肌が露出したタイプの砂漠もあり、世界規模で見ると、こちらの方が多数派なんだとか。
王頭山にあるという「王頭砂漠」は花崗岩が風化してできた砂漠らしく、まさに岩石砂漠。日本遺産に登録されており、「石の島」にふさわしい「石の砂漠」と言えます。

丸亀港から小さな旅客船に乗り込み、約20分。青い海に島々がぽこぽこと浮かぶ瀬戸内海らしい景色を楽しんでいると、あっという間にさぬき広島に到着です。
船着き場からは港を挟んだ反対側に、目的地の王頭山が見えます。標高312mの王頭山は、塩飽諸島最高峰。よく見ると、斜面の一部に白い岩肌が露出しているのがわかります。さぬき広島では、最盛期にはなんと80軒もの採石業者がひしめいていたそう。この岩肌も採石の跡のようにも見えます。

港から王頭山の登山口までは、歩いて20分ほど。のんびりと海沿いの道を歩き、途中で海から離れて登山道へ入っていきます。

登り始めると土の道と石の道が混在した、珍しい山道に驚きます。石の道は白っぽく、つるりとしていて、まるでコンクリートのよう。

途中には短いながら鎖場もあり、ちょっとしたアトラクション気分が楽しめます。

登山道の脇道にはところどころに巨石があり、存在感を放っています。重機がない時代に山から石を切り出し、降ろし、船に積み込み、運ぶ…昔の人は一体どうやってやり遂げたんだろうと不思議に思います。

途中で視界が開けて、さっきまでいた船着き場と、山へと向かう道が見下ろせました。疲れが吹き飛ぶ良い景色!
不思議な巨石がごろごろ。「空中庭園」現る!

登り始めて約1時間後。頂上に近づいたころに現れたのが「空中庭園」の札。どうやらこの先に、王頭砂漠があるみたいです。

大きな岩の間を降りると..

巨石が並ぶ白い空間が!
これが石の砂漠!!

白い花崗岩の上に人の背丈ほどもある岩がごろごろ転がり、その向こうに森の緑と海の青が見えます。

これまで木に覆われて視界が狭まっていたところから、ぱあっと視界が開け、まるでこの空間だけ誰かがこっそり作った庭のよう。まさに「空中庭園」の名前がしっくり来きます。

どうやってできたのだろう?と不思議に思うほどスパッとした断面を持つ巨石や、松が根を張る不思議な巨石も。

花崗岩が風雨にさらされ風化してできた王頭砂漠。
岩はもろく、触れただけでぽろぽろと崩れていきます。

足元に広がる白い地面も、風化した花崗岩。足元からザザーッと崩れていくので、しっかり踏ん張って立っていないとすぐに滑ってしまいます。
この後山頂にも寄りましたが、木に覆われて眺望がなかったので、サクッと帰路へ。往復2時間ほどの気軽な登山で石にまみれた非日常の世界を楽しめました。

どこを見ても石、石、石
下山後、島を歩いていると、石造りの建物や標識があちこちで目に入りました。「あれもこれも青木石!?」と、いつの間にか無意識に石の要素を探し続けている自分に気づきます。
たとえば…

石の標識や…

石のベンチセット。

さらに、空き地に無造作に積まれた石材。

公衆トイレの裏には、立派な石庭も。島の随所に「石」の存在を感じます。

こちらの文字が刻まれた大きな石は、さぬき広島名物の「いろは石」。青木石に「いろはにほへと」の文字から始まる格言を刻んだ石碑で、島内に43か所も建てられているそうです。毎年秋頃には石碑をめぐるウォーキングイベントも開催されているのだとか。
これは1文字目の「い」。「どこにあるかな?」と探しながら島を歩くのも、宝探しみたいで楽しい時間でした。

さらに島を歩くと、整然と積み上げられた石垣の上に建つ古い日本家屋を発見。

隙間なくきっちりと積まれた石垣の美しさに、当時の職人たちの技術力の高さを感じました。
半日ほどの滞在で見たのは、とにかく石、石、石。
これまでの人生でこんなに石ばかり見ることはありませんでした。
木や草花とは違い、石にはどこか人工的なイメージを持っていましたが、考えてみると石も自然の産物。その恵みを活かして400年もの間、生業として続けてこられた裏には、島の人々の「技術や資源を次の世代へつなぐ」意識があったのかも。そんなことに思いを馳せながら、石の島を後にしました。
丸亀市によると、毎月20日は「航路運賃無料デー」。丸亀市の有人島5島(本島、牛島、広島、小手島、手島)をつなぐ航路運賃が無料になります。ぜひこの機会にゆったりとした島時間を過ごしてみませんか?
最新情報は「まるがめ せとうち 島旅ノート」のお知らせをご確認ください。
「まるがめ せとうち 島旅ノート」:https://www.marugame-happylife.jp/islands/
「せとうち石の島」公式サイト:https://stone-islands.jp/
企画・執筆:卜部奏音
編集:ハテシマサツキ
撮影協力:佐藤安未加
協力:丸亀市






