【喜界島】「ひっつき虫」を使って商品開発をしてみた【近大コラボ】
みなさま、ごきげんよう。
離島メディア「はなれじま広報部」編集長のハテシマサツキです。以後、お見知りおきを。
※JAC(日本エアコミューター)さんの機内誌からこの記事をお読みいただいた方もいらっしゃると思うので、いつもより丁寧にご挨拶をさせていただきました。
さてさて、私たちはいま、近畿大学農学部さんと一緒に商品開発プロジェクトに取り組んでいます!
商品名は…「ひとくちしまたび 喜界島ラスク」。
なんとこのラスク、喜界島の名産品である黒糖だけでなく、センダングサ(通称:ひっつき虫)を原料に使っているんです。そう、草むらで足にくっつくアレです!
なぜそんなことになったのか。そしてどんな商品が出来上がったのか。
ダイジェスト的にお伝えしてまいります。
(ちなみに、この商品は記事の公開時点でまだ正式な発売段階に至っていません。プロジェクトの歩みを現在進行形でレポートする位置づけの記事としてお読みいただけると嬉しいです。)
こうしてプロジェクトがはじまった

ざわわ……
ざわわ……
ここは鹿児島県の奄美群島に位置する喜界島。
サトウキビの生産が盛んで、年間生産量はなんと約6.7万トンにものぼります。
これは東京タワーに換算すると17基分……難しいですね。
ともかく、「喜界島といえばサトウキビ!」というイメージは伝わりましたでしょうか。
ただし、今回私たちがフォーカスしたのは、サトウキビにとって「邪魔者」となる外来種の雑草「センダングサ」です。

どん!
正確には「シロバナセンダングサ」という種類の草になります。

これなら見覚えありますでしょうか。
草むらに入って出てきたら棒状の種がたくさん付いていて、取るのに苦労したという方も多いのでは?
実はこのセンダングサ、人間にとっても厄介なのですが、サトウキビにも悪影響をもたらしているんです。
センダングサが畑に生い茂ることで、農作業を行う際の妨げになってしまうほか、本来サトウキビが得るはずだった栄養が吸い取られてしまうので、邪魔者として扱われてきました。
私たち「はなれじま広報部」は、この島の邪魔者を資源として使って、新たな価値を見いだせないか、と考えました。除草を収穫に読み替えられないか、という試みです。
そこで相談したのが、私たちが本社を置くシェアオフィスを運営している、大阪信用金庫さん。
「一緒に商品を開発してくれる強力なパートナーを紹介してください!」とお願いしたところ、近畿大学農学部の森島先生におつなぎいただきました。…強力すぎるっ…!
今回のプロジェクトの趣旨や意義をご説明したところ、なんとご快諾いただき、食や栄養を専門とする学生さん3名の卒業研究として、センダングサ活用の試みが始まりました。

写真左から、猿渡さん、寺園さん、藤井さん
このプロジェクトには、「単に商品を作るだけでなく、島内外のつながりを生み出したい!」という想いが込められています。
それゆえ、喜界島をフィールドに商品開発するのであれば、学生さんたちには必ず現地での滞在を通して、たくさんコミュニケーションをとってほしいと考えていました。
ということで、喜界島での合宿もセッティング。
合宿の様子は、後ほどご紹介します。
記事の下部にご協力者様のお名前を掲載させていただきました。
本当っっっっにお世話になりました…!
草の風味をどう使う?試行錯誤の末に生まれたのは…
そうして始まった商品開発。
実は、最初からラスクを作ることが決まっていたわけではありませんでした。
センダングサの葉を乾燥させると、「THE 草!」という濃いめのにおいになるのですが、その独特の風味をどのような形であれば活かせるか悩みに悩み、なかなか答えを出せずにいました。

パイを試作した時の様子
クッキーやパイなど、さまざまな可能性を検討し、試行錯誤します。
こんなにセンダングサを調理しまくっている団体は他にあるのだろうか…。
というくらい、学生さんは本当に何度も何度も試作を重ねてくれました。
研究室の先輩をはじめ、たくさんの方に試食してもらい、改良をしました!

数ヶ月にわたる試作の中、ついにパンとの相性を見つけ、より日持ちする形を目指してラスクづくりへと方向性が定まりました。
ちなみに、センダングサの配合はもちろんのこと、砂糖をどれくらい入れるかも繊細な調整が行われています。黒糖を入れすぎるとラスク全体が黒っぽくなってしまうので、ほどよくザラメも使って草の色(センダングサグリーン)が綺麗に出るようにしました。
食感にもこだわり、一口で食べられる大きさながら、サクサク感を味わえるサイズを研究。
こうして、センダングサを使ったラスクが出来上がりました。
そして、食べるたびに喜界島のことを思い起こしてほしい!という想いから、「ひとくちしまたび 喜界島ラスク」と命名。
どんな見た目になったかは、記事の後半で。
センダングサの本場(?)喜界島でラスクづくり!

2026年7月某日。
はなれじま広報部+近畿大学のメンバーはJALグループの飛行機を乗り継ぎ、喜界島に降り立ちました。
メインミッションは、センダングサを刈り取ってラスクをつくり、島の人たちにお披露目すること。4泊5日の合宿を通してリアルな声を商品開発の糧にしつつ、関西と喜界島の間に新たな絆を作ることを願い、島を訪れました。

期間中は、東京農業大学や喜界高校のみなさんも合流し、ともに生活しながらお披露目イベントを一緒に盛り上げてくださることに。地元の青年団の方々にも駆けつけていただきました。
早速新たな縁が生まれて、とても良い兆し!

初日の移動日が明け、2日目は朝から早速センダングサの刈り取りを行いました。
喜界島には畑だけでなく、道路や家の庭、空き地などいたるところに繁茂しています。
「よくそんなもん熱心に取るねぇ」と言われながらも、草を抜き、きれいな葉を選別して袋に入れていきます。
商品開発を通して愛着が湧いちゃった!
それだけ、センダングサへ真剣に向き合ってきたということでしょう。

刈り取ったセンダングサは、よく乾燥させてミルにかけ、粉末にしていきます。
細かく砕くと、まるで抹茶のよう。

そして、島内でクレープ屋さんを営む「MAMA’S isround kitchen」の林さん協力の下、ラスクを作ります。

材料を混ぜ合わせ、オーブンで焼き上げます。
うまく焼けるかドキドキしながら、タイマーが鳴るのを待つこと数分。

どん!できました!
ぱくっと一口。
うお、うまい!
黒糖のやさしい甘さとコクに、センダングサが持つ抹茶のような深みと香ばしさが絶妙に調和し、素材の魅力を活かしたとても美味しいラスクに仕上がりました!
私の感想が恥ずかしくなるほどしっかりした食レポをしてくれました。
「うお、うまい!」じゃないのよ。
普段試作している場所とは異なる環境での調理となりましたが、うまくいって一安心です。
いざ、お披露目!

出来上がったラスクは、JACのみなさんにも食べていただきました。
「大人の味で良い!」「どんどん食べちゃう」と大好評。
学生さんたちの表情もほころびます。

そして、旧荒木小学校を利用した交流拠点「KIKAI BASE」にて開催されたイベント、「喜界島サンセットフェスタ」にて、ラスクを島のみなさんにお披露目!
約90食分を販売しました。

とても暑い日でしたが、島内にお住まいのみなさんが続々と集まってきてくださいました。
「ラスクを楽しみにして来ました」と言ってくださる方も。ありがたい!
購入して食べてくださった方からの反応も上々。
みなさん、「あの草が!?」と驚きつつ、その美味しさに二度驚いていました。
販売開始から2時間半…ついに…

うおおおおおお!
用意した全てのラスクをご購入いただきました。完売御礼!
「あのセンダングサが…」と驚いた表情を浮かべた後、「美味しい!」と笑顔で言ってくださった時、試行錯誤した甲斐があったと思いました!
一緒に取り組んだ2人に支えてもらいながら最後まで頑張ってきて、本当に良かったです。
これから、この商品と喜界島の魅力を全国に発信できるよう、商品発売に向けて動いていきたいです!
センダングサから作られたラスクの味、気になりませんか?
今後、この商品は「はなれじま広報部」のECサイトや近畿大学で取り扱い予定なので、みなさんのお手元に届けられる日もそう遠くありません。
商品発売まで、あたたかく見守っていただけると嬉しいです。
進捗があり次第、Instagramにてご報告いたします!
追伸:かけがえのない夏になりました。






猿渡さん、寺園さん、藤井さんにとって初めての喜界島。
島の人たちに触れ、景色に圧倒され、食に舌鼓を打つ。
この夏の経験は3人の心に深く残ったようです。
これから先の人生で、喜界島での出来事を思い起こす時。
島が、彼らにとってもうひとつの故郷になるのかもしれません。
スペシャルサンクス
このプロジェクトに関わってくださった皆さまに、心より感謝と愛をこめて。
・近畿大学 農学部(森島ゼミ)
・KIKAI BASE
・MAMA’S isround kitchen
・株式会社HOWBE
・株式会社MyLand
・大阪信用金庫
・クラウドファンディングにてご支援いただいたみなさん
・本商品開発およびイベント実施を応援してくださったみなさん
関連プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000117645.html
はなれじま広報部では、今回のようなプロジェクトはもちろん、島という文脈での企画実施のご依頼を承っています。「島で何かしてみたいぞ?」という方、まずはぜひお気軽にご連絡ください!
企画・執筆:ハテシマサツキ
編集:卜部奏音